USJ V字回復の立役者が、新企画に450億円も費やす無謀な冒険にUSJを引きずり込んで大成功させた社内マーケティング術とは?
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マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社に劇的に成長する森岡メソッド
あなたの提案はなぜ通らないのか?
休日は多い時だと10冊近く本を読むこともあります。今日読んだのはUSJをV字回復させた森岡毅さん(現・株式会社 刀 代表取締役CEO)の『マーケティングは組織革命である』。
組織で提案を通すのが上手い人に共通する「Target Analysis(ターゲットアナリシス)」というスキルと組織改革について説いた一冊です。
組織を変える個人技とは、端的に言えば「提案を通すスキル」、と森岡さんは説いています。
社内マーケティングというと聞こえは悪いですが、どんなに優れたマーケティング戦略や施策も、組織を動かし実行できなければ、ただの絵に描いた餅であることも事実。
個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド
USJ再生の立役者である森岡さんが、硬直化していていたUSJの組織を「下から」改革し、新エリア「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」に450億円も費やす無謀な冒険にUSJを引きずり込んで大成功させた「社内マーケティング術」と組織改革の手法について記しています。
具体的には、
- ビジネスパーソンであれば誰もが認識しておくべき、組織を活性化させる方法
- ひとりの人間が「下からの立場」で会社を動かすことに成功する確率を上げる方法
- 起点となって世の中を実際に変えた人々と森岡さんのインタビュー記事
この3つに分けて、方法論と事例をふんだんに盛り込んで解説されています。
マーケティングというよりも、組織改革や人事戦略の書籍という内容です。
実際、かなりのページ数を人事評価制度や運用方法について割いています。
企業のマーケティング責任者、人事部、経営層には大きな学びがあると思います。
以下、自分の備忘も兼ねたメモです。
- 人事制度改革はUSJ再生の「一丁目一番地」だった
- マーケティングドリブンな組織は生存確率が高い
- 商品開発部門をCMO(チーフマーケティングオフィサー)直轄にした
- 市場調査から商品コンセプト開発、宣伝広告や営業まで一気通貫に
- 「作ったものを売る会社」から「売れるものを作る会社」に激変させてUSJはV字回復した
- 森岡式会議術 – 日本式の議事録ではなく「アクションサマリー」を24時間以内に全部署向けに出させる
- USJ入社時には人事評価のコンピテンシー項目が30以上あった。シンプルなものに変えた。
- 大昔のP&Gでは「リーダーシップ」「戦略的思考」「コミュニケーション能力」の3つを個人評価指標として特に重視していた。
- USJでは2倍や3倍どころではない何倍もの差をつけて人事評価の最高評価者には報いていた。
- 社員のモチベーションを上げる報酬システム
- 組織の色濃い不文律や暗黙知から探る
- 人間の本質は現状維持であり自己保存です。人によって程度に違いはあっても、誰しもそういう本能を持っている。
- 組織づくりの本質は、人間の自己保存の本能に逆らうこと
- 多くの人が提案を通すのが苦手なのは、魅力的なメリットを示せないからではなく、実現可能性を示せないから。相手は手に入るものと認識できない。
- USJ入社時に「ハリーポッター」の提案を社内でぶち上げたときは「お前は気が狂っている」と幹部社員から激しく拒絶された
- “What’s in it for me ?” 「私に何の得があるの?」日本で露骨に聞かれることはないが、相手の個のメリットに気づかせられると、協力の仕方は大きく変わる
- 私は人間を「4つのコミュニケーションスタイル」に区分して対処するようにしている。攻撃型、積極型、反応型、消極型の4つです。注意すべきは、血液型と違い、ひとりの人間が4つのコミュニケーションスタイルを併せ持っている
- 部下が間違ったマインドセットを持っていれば徹底的に修正する。プロとして成功するために真っ先に必要なのは、自分に矢印を向ける覚悟(自責)
- 「不易流行」という言葉が私は好きです。変えてはいけないものを守るために、変えなければいけない部分がある。ビジネスの真理。USJが「ワクワクドキドキ」し続けるために「映画だけ」という間違ったこだわりは変える必要があった。
後半の対談も示唆に富んだ内容でした。
鈴木敏文 セブンアイHD 名誉顧問との対談
- 過去の数字をただ見ていても何も意味はない。仮説検証して初めてデータは生きる(
- 大ヒットした「金の食パン」は発売日にリニューアル支持を出した。美味しいものは飽きる。1年で3回もリニューアルして年間3500万食の大ヒットにした。
- 私が金の食パンを発案したときも、開発メンバーの反応は否定的だった。
佐藤章 湖池屋社長との対談
- 目指すは「ポテトチップス界の虎屋」
- 老舗のイメージを「現代の憧れ」に転換したい
- 私はいまだに「マーケター7割、社長業3割」。経営者が一番大事にしなければならいのは「顧客満足」。いくらコストカットしてもマーケティング視点がないと何も生まれない
- 世の中を元気にするのが「仕事」
- 究極的にはマーケティングは「夢を売る」「憧れをつくる」ということ
- 湖池屋の商品を通じて日本ブランディングに貢献したい
最後に、森岡さんが立ち上げた「株式会社 刀」にも興味を持ちました。
マーケティングで日本を元気に!
世界初のマーケティングノウハウ・ライセンシングカンパニー「刀」
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かなり骨太ですが、書籍もお勧めです。
これ一冊で有能なマーケティングや組織改革のコンサルタントを1人雇ったくらいのリターンはある気がします。
マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド
- 作者: 森岡毅
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