横山弘毅のブログ Education & Marketing

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日本にもジョブズがゴロゴロいた?!『戦前の大金持ち(出口治明著)』を読んでみた

桁外れのスケール感?!100年前の日本人実業家7人から「ベンチャー精神」を学ぶ

戦前の大金持ち (小学館新書)

戦前の大金持ち (小学館新書)

 

今日紹介するのは、元ライフネット生命会長で現・立命館アジア太平洋大学(APU)出口治明学長の著書『戦前の大金持ち』です。

 

教育と全然関係ないようですが、変化の激しい時代の教育の在り方を考える上で示唆に富んだ内容でした。

 

「戦前の日本にはジョブズやゲイツがゴロゴロいた!」

 

がこの本のキャッチフレーズですが、明治大正生まれの破天荒な起業家&実業家のエピソードがてんこ盛りで、読み物としても単純にとても面白かったです。

 

これまで日本の経営者といえば、「メザシの土光」に代表される質素倹約型が理想像とされてきたはずだ。

 

しかし、それは果たして本当に伝統的な「日本の大金持ち」の姿なのだろうか。

 

歴史を紐解けば、戦前の日本には、個性的でスケール感溢れる起業家たちがゴロゴロいた。

戦前の日本は、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ並みの人材が揃ったシリコンバレーのような場所だったのだ。

 

武器商人から一大財閥を築いた大倉喜八郎、孫文の辛亥革命をパトロンとして支えた梅屋庄吉、パリで「蕩尽王・バロン薩摩」として名を馳せた薩摩治郎八……

 

彼らの豪快なカネの稼ぎ方・使い方を見ていると、今の日本のビジネス界がずいぶんとこじんまり見えてくるに違いない。

 

戦後のサラリーマン型経営が終わりを迎えた今こそ、彼らの型破りな発想力に学びたい。

 

個人的には(出口さんも推しメンっぽいですが)、孫文の辛亥革命に莫大な支援をしていたという“革命プロデューサー” 梅屋庄吉のエピソードが興味が湧きました。

 

14歳で当時グローバル最先端都市だった上海に密航し、欧米人にいいように虐げられる様を見て「アジア人」への同胞意識を持つようになる。

 

さらに19歳でアメリカ訪問をした際には、コレラに罹患した出稼ぎ中国人をアメリカ人船長が袋に入れて海へ投げ捨てる、という凄まじい光景を目にする。

 

そして、出会った孫文の革命活動を、事業で稼いだ資金をすべて投じて支援していく。

 

「梅屋庄吉は孫文に巨額のお金を投じました。ただそれは孫文のためではなく、欧米列強から日本とアジアの文化を守り、東洋の平和を実現するためでした。全ての財産を投げ打ったのも、自分自身の夢を孫文を通じて叶えたかったから」

 

現代日本ではちょっと考えられないスケール感です。

 

日本人は内に引きこもりがちと言われますが、かつての日本には自由に伸び伸び海外に飛び出し、広い世界を相手に生きようとするー。

 

そんな生き方がほんの100年前の日本には当たり前にあったかもしれないと思うと、考えさせられるところがあります。

 

戦後の「工場モデル」に特化した教育制度は見直しが必要

出口さんも指摘していますが、戦後の教育制度は「工場モデル」に特化して構築されたものです。

 

この教育の目指す理想の人間像は

「みんなで決めたことを守れる人」

「黙って素直に言われた仕事をやる人」

「工場で長時間黙々と働く勤労者」

です。

 

逆に、ジョブズのようなイノベーターが工場のラインに立ってアレコレやり出したら、生産ラインは止まってしまいます(笑)。

 

ですが反対に、戦後の「工場モデル」や教育システムからは、ジョブズや梅屋庄吉のような豪快な事業家の輩出は難しいと言わざるを得ません。

 

先日シリコンバレーに行ってきましたが、やはり教育システムによってどんな人材が輩出されていくのか、国の活力も大きく変わっていく、というのは肌で感じました。

 

この本では、以下の7人の戦前の日本の圧倒的なスケール感の起業家・事業化を紹介しています。

 

  • 革命プロデューサー 梅屋庄吉
  • パリの放蕩王 薩摩治郎八
  • 初もの喰い狂 大倉喜八郎
  • 吉野の山林王 土倉庄三郎
  • 相場の神様 山崎種二
  • 世界の真珠王 御木本幸吉
  • 庭園日本一 足立全康

 

世界的な真珠ブランドを育て上げた御木本幸吉の現代でも参考になるマーケティングと広報PR術もとても参考になりました。

 

最後に「革命プロデューサー」梅屋庄吉の座右の銘を紹介します。

 

「富貴在心」

 

富や貴さは心の中にこそある。

 

興味が湧いた方はぜひ読んでみてください(^^)

 

戦前の大金持ち (小学館新書)

戦前の大金持ち (小学館新書)