横山弘毅のブログ Education & Marketing

教育イノベーションとマーケティングに関することを主に発信するブログです

『世界一子どもを育てやすい国にしよう』を再読してみた(出口治明・駒崎弘樹著)

「日本の本当の危機」がわかる「15の数字とファクト」とその「解決策」とは?

世界一子どもを育てやすい国にしよう

  ↓   ↓   ↓

世界一子どもを育てやすい国にしよう

 

保険料を半分にして子育て世代を応援したい」と、出口さん。「子育てと仕事の両立なんて当たり前の社会をつくりたい」と、駒崎さん。 年の差30歳のふたりが、子育て安心社会の実現に向けて、縦横無尽に語り合った1冊

 

ライフネット生命創業者で現・APU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明さんとNPO法人フローレンス駒崎代表の対談本『世界一子どもを育てやすい国にしよう』。再読したので感想やポイントなどを記します。

 

個人的にはサクサク読めて、読みやすい本だと思います(^^)

 

出口さんが常日頃、「エピソード」ではなく「数字・ファクト・エビデンス」で議論せよと仰られている通り、出口の見えにくい(ギャグではありません)難解なテーマを、具体的なデータや数値を示しながら解説してくれていて、とてもスッキリしますし、勉強になります。

 

フローレンスの駒崎さんは一度だけお会いしたことがありますが「NPOってボランティアでしょ??」位の認識の人には衝撃が走るであろう頭脳のキレと鋭さをお持ちの方でした。出口さん同様、抽象論ではなく、数字とファクトで徹底的に理詰めで議論と行動ができる方だと思います。

 

今回は、出口さんらしく「数字とファクト」を取り扱っている箇所を、いくつかピックアップしてみました。

 

日本の本当の課題がわかる「15の数字とファクト」とは?

 

  1. 年金が50兆円で医療費が37兆円。保育に必要な額は3千億から1兆円
  2. 幼児期の教育投資効果は3.9〜6.8倍と圧倒的に高い
  3. ある世代から男性の育児参加率が上がっている
  4. 今の日本では6人に1人の子どもたちが貧困状態にある
  5. 「相対的貧困」のラインに16%もいる。G7はもちろんOECD諸国のなかでも最下位
  6. 特にひとり親の家庭は50%以上が貧困家庭
  7. 生活保護を不正に受け取っている人は2.4%。一方で、生活保護の水準以下の収入しかないのに受給していない人は70%
  8. 養育費の支払い率は日本は20%、アメリカは70%
  9. 日本の教育費の公的支出もOECDのなかではワースト2位
  10. 「休眠口座」の1割である100億円でも使えれば、年間100万円を1万人の子どもたちに配れる
  11. 日本で生まれる子どもは年間100万人しかいないのに、人口中絶が年間20万件
  12. 区長選や区議選の若者の投票率は10%台
  13. 組体操の事故は年間8000件
  14. 幼児期の虐待による社会的損失は4兆円
  15. 全米には常時84〜85万人の海外留学生がいて、留学生だけで8兆5000億円使う計算。アメリカのDGPが0.5%成長

 

詳しくは、以下の本文からの抜粋をさらにご覧ください。

   ↓   ↓   ↓  

 

=================

 

ある会合で「21世紀の日本を風の通る国にしよう」という話になった。

耳障りはいいが、具体的な意味が分からなかったので「それは美学の次元の話では?」と言うと「じゃあ出口さんはどんな国が理想なんですか?」と聞かれた。

その答えが「世界で一番赤ちゃんを産みやすい国にしたい」でした。

 

その会合には二度と呼ばれませんでしたが、そのとき強く思ったのは「僕たちは、どんな国をつくりたいかを語りはじめないといけない」ということ。

 

日本の少子化問題は、深刻を極めてきている。

 

少子化について考えることは、突き詰めれば「社会が、子どもを育てる環境をどう整備するのか」という一点につきます。

 

少子化問題は、どんな人にとっても他人事ではありません。

 

就学前教育が子どもの人生を決める。

保育園義務教育化を断行すべき。年金が50兆円で医療費が37兆円。保育に必要な額は3千億から1兆円。桁が違う投資で済む。

 

シカゴ大学の「ペリー就学前プロジェクト」の社会実験。

貧困家庭の子供達を、少人数の手厚い保育(教育)を受けたグループと受けていないグループに分けて40年間追跡調査した。

良質な保育を受けた人は、生活保護率が低く、年収が高く、犯罪率も低かった。幼児期の教育投資効果は3.9〜6.8倍と圧倒的に高い。100ドルの投資が400〜700ドルになって返ってくる計算。

 

僕らの少し上の時代から「女子は裁縫、男子は工作」と分けるのを止めて、「技術家庭」を男女一緒にするようになった。そのあたりの世代から男性の育児参加率が上がっている。教育の力は偉大なんです。

 

究極の国の成長戦略は、子どもへの投資だと思っている。でも、今の日本では6人に1人の子どもたちが貧困状態にある。信じがたい数字だけど「相対的貧困」のラインに16%もいる。日本の未来に致命的に関わってくる。

 

大人ひとり世帯の相対的貧困率は、G7はもちろんOECD諸国のなかでも最下位。特にひとり親の家庭は50%以上が貧困家庭。子どもの貧困は日本で最も緊急度の高い課題。

 

生活保護を不正に受け取っている人は2.4%。一方で、生活保護の水準以下の収入しかないのに受給していない人は70%。データで見れば、どちらが問題かわかる。

 

別れた配偶者からの養育費の支払い率は日本は20%、アメリカは70%。最大の要因は罰則がないから。「養育費の支払い率向上」がひとり親の貧困率の削減につながる。

 

日本の教育費の公的支出もOECDのなかではワースト2位。これは本当に致命的で少子化にジワジワ効いてくる。給付型奨学金か大学無償化の流れが必要。

天然資源に恵まれず、人材が唯一資源である日本は、人的投資をどこよりやらないといけないはずが、公的教育支出は非常に少ない。

 

財源はある。「休眠口座」の1割である100億円でも使えれば、年間100万円を1万人の子どもたちに配れる

 

敬老原則は捨てて、「敬老パス」など即刻廃止する。それより「ひとり親パス」をつくったほうがよっぽど社会の役に立つ。極端かもしれないが発想を変えて「チャイルドファーストの社会」に変えていかないといけない。

 

日本で生まれる子どもは年間100万人しかいないのに、人口中絶が年間20万件もある。

日本でもシラク3原則のような真っ当な政策が実現できれば、救える命ももっと増える。

 

子どもを産むということは、動物としてどういうことか本質から教えるべき。妊娠出産が何歳くらいまで可能か、というデータもきちんと教える。ペアレンツシップを学べる性教育が必要。

 

区長選や区議選の若者の投票率は10%台。ありえない数字ですが、これが現実。

欧米の一部の国で教育の基礎に埋め込まれている「シチズンシップ教育」が必要。

一番投資効果の高い時期にシチズンシップ教育を学べる保育園をつくったら凄く効果があがると思う。

 

日本の保育園幼稚園は「皆と同じときに、同じことをする」が好まれる。だから組体操が人気。子どもが自分で考えることより「一緒にやること」が重視される工業社会のあり方。でも組体操の事故は年間8000件。即刻中止すべき。

 

幼児期の虐待による社会的損失は4兆円とも言われる。心の形成がうまくいかず、死ぬまで影響が残る。

 

保守派の人が「養子の伝統など日本にない」と言うが大間違い。江戸時代の武家や商家はほとんど養子。日本には1000年を超える養子の伝統がある。

 

アメリカ全土には常時84〜85万人の海外留学生がきている。アメリカの学費はすごく高くて、生活費も合わせると年間1000万円。留学生だけで8兆5000億円使う計算。アメリカのDGPが0.5%成長することになる。大学の競争力が成長率押し上げることになるのだ。日本

 

=================

 

これだけ数字とファクトを並べられると、何がこの日本の課題で、何をすべきか、嫌でも分かります。

 

ちなみに、読み返すと、先日APUを訪問した際に、出口さんからお聞きした話が殆ど本書に書いてあって、自分の不勉強を恥じ入った次第です。。。

 

あと、自分の趣味嗜好の問題で、ピックアップが教育領域ばかりになってしまいました。

 

が、本書の前半は、

  • 社会の仕組みの話
  • 働き方の話
  • フランスの少子化克服の事例
  • ドイツの社会保険の適用拡大の事例
  • アメリカで最も有名なNPOの事例(実はある有名な大学です)

などなど、数字やファクトで示されて改めて気づくこと、解決の糸口や事例もあること、学びが盛り沢山あります。

 

興味が湧いた方はぜひ読んでみてください(^^)

 

世界一子どもを育てやすい国にしよう

世界一子どもを育てやすい国にしよう