辺境から世界を変える、新しいFinTech<やさしいお金の革命>の教科書
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20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る
Tシャツ短パン姿のイノベーター
先日、東大駒場キャンパス近くの「伝説の経済学者」宇沢弘文教授の元ご自宅(宇沢国際学館)を訪ねた際に、合田真さんという方とお会いしました。
Tシャツ短パンの出で立ちで現れた(自分もTシャツ短パンでしたが)合田さんが何者なのか存じ上げていなかったのですが、話を聞いたらとんでもなく面白い御仁でした。
合田さんは、日本植物燃料株式会社の代表取締役です。ちょっと固い社名ですが、アフリカのモザンビークでバイオディーゼルの生産販売事業を展開しています。
さらに、そのモザンビークの「電気の通らない農村地域」で「電子マネー経済圏」と「電子銀行」を創り出しているという、何とも刺激的なプロジェクトに取り組まれているのです。
記事もありました
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このTシャツ短パン男、只者ではない、、、(ゴクリ)!
電気のないアフリカの村で電子マネー経済圏?!
ただ、ここまで断片的に聞くと、混乱するというか、訳がわからなくなると思います。
「なんで燃料の会社が電子マネー??」
「そもそもバイオディーゼルって何だっけ?」
「電気が無い村で、どうやって電子マネー??」
「銀行ってどういうこと??」
「てか、モザンビークってどこだっけ?」
実際に自分のアタマに浮かんできた疑問たちです(笑)
そんな疑問も合田さんが最近出版された『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』を読んだらスッキリ理解できました(^^)
というかメチャクチャ面白いぞ!
この本!と合田さん!!
インスパイアされた一部を抜粋してご紹介したいと思います。
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アンデスの気まま旅で遭遇した、経済構造の根本的課題
小学生の少女がお菓子を売りにきたときにハッとした。その少女がどれだけお菓子を売上ても、地球の裏側に自由気ままに旅行するなんて夢のまた夢。自分の境遇は偶然の産物だと気付かされた。
モザンビークの農民たちがいくら働いたところで、先進国の私たちのように豊かになれない。私はこの構造的な問題を、どうにかして解決したいのです。
世界銀行のレポートによると、銀行口座を持たない成人は世界に20億人。今後40億人、世界人口の半分までに増える。
こうしたファイナンシャル・アクセスのなかった人のうち1割でも新しいお金のルールで動くようになれば、今後50〜100年の間に世界は変わる。
モザンビークの農村で実現しようとしている「収益分配型モバイルバンク」。コミュニティにやさしい「もう一つのフィンテック」の可能性を伝えたい。
モザンビークで構築した電子マネーシステムは、フィンテックの最先端プレイヤーから見れば、とてもシンプルなもの。
人々の行動を変え、世の中を変えるのに、必ずしも先進的な金融工学や最先端のテクノロジーは必要ない。
世界を変えるために必要なのは、ごく一部のスペシャリストだけが持つ特殊なスキルではない。もしこれが本当なら、そこに一つの希望があると言えるのではないでしょうか。
資源制約期には、拡張期と別の「ものがたり」が必要だ。
資源拡張期(エネルギーや食料生産が増えている時代)は、自由競争のルールでもうまくいく。分配できる総量が増え続けているから。
制約期においては、自由競争の「ものがたり」ではシステムは破綻してしまう。競争に負けた側は「社会体制をひっくり返してしまうしかない」となる。
「アラブの春」の発端となったチュニジアは、2006年から石油「輸入」国に転じていた。エジプトも石油生産量と消費量がほぼ並んでいた。
つまり、石油という原資がなくなったことで、貧しい人にパンが回らなくなり「独裁制が悪い」ということになり、結果的に政治体制が倒されたという話だと理解しています。
その先にある最もハードランディングなシナリオは、各国によるブロック経済化が進み、帝国主義的な戦争が始まるという結末。これは日本が太平洋戦争に至るまでの過程で実際に起きたこと。
ヤトロファからは、大豆の5倍の油が採れる
干ばつや害虫に強く、乾燥地域でも栽培が可能。毒性があるので食料にもならない。パームに代わる原料として最適に思えた。
市場もインフラも自分たちで作らなければ存在しない
現地の3つの村に「キオスク」のような店舗を作り、そこにバイオ燃料で発電して充電した電気ランタンを貸し出したり、冷えた飲料や氷を販売した。この事業により村人の生活水準はかなり高まった。
店舗で売上計算すると、毎月現金が足りない。スタッフに尋ねると「これは妖精のせいだ」と返ってきた。
現金を扱っている以上、こうした問題は発生する。ならいっそ現金を使わなければいいのではと考えた。導き出した結論が「電子マネー」の導入だった。最大30%あった売上の誤差は、最終的に1%未満になった。
村人たちの予想外の使い方により「銀行業」の可能性に気づいた。
電子マネーで決済するだけでなく、全財産をチャージして「貯蓄」する人が現れだした。現金を壺や穴に埋めて隠して保管していた彼らにすれば、電子マネーは安全な保管方法だった。
制約期に複利の金利は、最終的に共同体を崩壊に追い込む。構想するのは、複利の金利を取らない「収益型モバイルバンク」。
最終的に優先すべきは現地の人の気持ち。
20代で借金5000万円を背負い、必死で事業を回す。
潰れかけた会社を5000万で買うなんて狂気の沙汰です。路頭に迷わないためにクレジットカードや物流の事業をはじめたが、電子マネーの事業に繋がっているかというと後付けの話。当時はとにかく必死だった。
門外漢だからバイオ事業を始められた。
素人だからこ「面白い」「これは世の中み必要だ」という思いだけで飛び込めた。
この事業は大失敗に終わった。あっというまに資金を使い果たし、1日500円で生活していた。
儲からなくても諦めなかった理由
単に「儲けたいから」「マーケットが伸びているから」という理由だけでは、投げ出していたかもしれない。
「世の中から不条理をなくしたい」という思いだけは、長崎の少年時代、アンデスの少女と出会ったときから一貫して持ち続けてきた。
一度や二度の失敗は諦める理由になりません。
「あいつは口だけだ」と影口を言う人もいるでしょう。それでもなお、公言して、勝負すべき。私は自分にそう言い聞かせています。
物事を成し遂げた偉人たちも、最初はホラ吹き扱いされながら仕事に取り組んでいた。
陰口や批判の数は生み出す価値のバロメーターになのです。敵のいない仕事をしているうちは、大した勝負をしていないのす。
人間が想像できることは、必ず実現できる。
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熱い。熱すぎるぞ合田さん。
読んだだけでメチャクチャ元気が出ました。
ちなみに本書『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』の中では、預けた電子マネーの流通量をどう増やすのか、モバイルバンクの経済圏をどう活性化させていったのか、モザンビークでの奮闘の過程も詳しく書かれています。
また、電気のない村で電子マネーのシステムをどうやって導入し、普及させたのか、その挑戦プロセスも興味深かったです。
それから「お金の仕組み(ものがたり)」について、16世紀の宗教改革によるキリスト教徒の金利解禁から1694年のイングランド中央銀行の設立まで遡り考察していて、歴史的な側面も勉強になります。
難しい話はさておいて、日本人離れしたスケールの起業家の挑戦ものがたりとして、2018年いまのところ一番おすすめの一冊です。
合田さんの起業家スピリットが詰まった
「辺境から世界を変える、新しいFinTech
<やさしいお金の革命>の教科書」
をぜひ手にとってみてください。

20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る
- 作者: 合田真
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/06/23
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