横山弘毅のブログ Education & Marketing

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日本酒で地方創生!神奈川・開成町の「瀬戸酒造」に酒蔵見学にいってきました!

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先日、 神奈川の奥地・開成町の「瀬戸酒造」さんに酒蔵見学にいってきました。

家の近所の酒屋の大将に教えてもらって、たまたま知った瀬戸酒造。

 

www.hirokiyokoyama.jp

 

慶應元年(1865年)創業の超老舗だけれど寂れて日本酒造りもやめていた瀬戸酒造さん。その瀬戸酒造で38年ぶりに日本酒造りを復活させ、地方創生に取り組んでいるチャレンジングな酒蔵さんということで、実際に見に行ってきました!

 

神奈川県開成町ってどこ?

開成町ってどこ?という方も多いと思いますが、このへんです。 

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小田原のちょっと手前くらいですね。

手前というか、小田原は海側なので、そこから山の方に行く、という方が正確かも。 

 

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今回は小田急新松田駅から瀬戸酒造さんに向かいました。

駅前には何故か二宮金次郎の銅像が。

よく見たら、松田町は二宮金次郎の生誕地でした!

知らなかった!(汗)

 

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このあたりまでくると、多少天気悪めでも富士山が拝めます。

 

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開成町は紫陽花(あじさい)が名物ですが、松田町は早めに桜が名物らしいです。

山の方に、桜が咲きまくっているのが見えました〜。


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開成町は、その昔は「酒田村」と呼ばれていて、酒造りが盛んだったそう。

その名残か「酒が匂う」と書いて「酒匂川(さこうがわ」という川まであります。

水が透き通っていてとっても綺麗でした。


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丹沢山地とのどかな田園風景が広がる開成町。

この日は曇りでしたが、天気が良ければ山がもっとくっきり拝めます。

 

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そうこうしているうちに瀬戸酒造に到着!

日本酒の瓶のオブジェが目印です。  


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瀬戸酒造の代表の森隆信さんに酒蔵案内していただきました。

森さん、もともとは橋の設計士で、瀬戸酒造自体も、オリエンタルコンサルタンツという地方創生の会社が運営していて、日本酒づくりの経験ゼロから、この酒造を復活させたとのこと。

 

※詳しくはこちらの記事もご覧ください。

 ↓    ↓    ↓

jp.sake-times.com

www.kensetsunews.com

 

もともとは地方創生のコンサルティングの案件としての紹介がきっかけだったそうですが、調査するうちに、コンサルとしての外野からの関わり方に限界をかんじたという森代表。

 

「口だけ出しても何も変わらない。誰もできないようなことを率先して何遂げないと、ブランドも作れないし、地方創生なんて絵に描いた餅だ!」 

 

と社長に進言したところ

 

「じゃあ、何かやりなよ」

 

という見事なブーメランになり(笑)、経験ゼロ、ど素人なのに、酒蔵を復活させ、日本酒造りに取り組むことになったそうです(ややデフォルメしてお伝えしています)。


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瀬戸酒造は江戸時代の終わり幕末のころ、慶応元年(1965年)の創業という超老舗の酒蔵です。

が、自前の酒造り自体は38年前にやめてしまい、以来、酒蔵は荒れ果てていたそうです。

その荒れ果てた酒蔵を、新たに建て直したのがこの酒蔵です。

金額はここでは書けませんが、初期投資の金額を伺ったら、目の玉が飛び出そうになりました。その投資だけで、酒蔵復活への並々ならぬ決意と覚悟が伝わってきました。


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さっそく中を見せていただくと、どでかい釜が登場。

これは、酒米を蒸すための窯だそうで、普通の酒蔵の倍くらいの値段のする、とても高性能な蒸し釜だそうです。実は、なかには和釜が入っていて、原理的には、薪や炭で炊くのと同じ原理で米をいいかんじで蒸せるそうです。これだけではないですが、道具や機械には、めちゃくちゃこだわってらっしゃいました。


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こちらは、研いだ後に乾燥中の酒米。

ちなみに、水に浸す時間、洗う時間でどの程度水を吸うかで、蒸しあがりや酒の味も変わってしまうそう。瀬戸酒造では、ストップウォッチで秒単位で計りながら洗米をしていました。手間暇かかっている・・・!

 

さらに、このあと酵母を投入して、発酵を行います。

特別に温度管理された部屋で、三日三晩、杜氏(とうじ、日本酒造りの職人さん)が、3時間起きに温度管理をするそうです。同じ部屋のなかでも、場所によって微妙に温度が変わるため、状態をみて場所を変えたり、均一に混ぜ直したりと、とんでもない手間暇をかけているそうです。


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これは、日本酒の元となる麹づくりをするタンクです。

日本酒づくりの第一段階です。


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タンクを開けると、発酵が進み、泡立った酒米が出現!

甘酒のような香りと、ヨーグルトのような酸味、さわやかないい香りが漂います。

 

ちなみに、この段階になる前の仕込みで、現代の日本酒づくりでは、人の手で乳酸菌を投入するそうです。

ですが、古い日本酒の作り方だと「山卸(やまおろし)」という工程があり、乳酸菌を投入せずに、人の手で蒸した酒米と酵母を手作業で潰して混ぜて、空気中の乳酸菌を取り込む(!)という工程が行われていました。

よく日本酒で「山廃仕込み」というのがありますが、これは「山卸」の工程を廃して(だから「山廃」)、混ぜずに自然に空気中の乳酸菌が取り込まれ発行されるのを待つ、という聞いただけで気の遠くなる仕込み方を指すそうです。

当然、製造期間は通常よりも大幅に長くなりますが、その分、濃厚な味わいになるそうです。

ずっと「山廃」という何かが入っているのかと思ってました。。。


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こちらは、先ほどの乳酸菌を加えた初期の発酵段階の次の、通常の醸造を行うメインタンクです。ちょうどお掃除中でした。

めちゃデカく見えますが、これで3000リットルの容量で、実際に採れる日本酒は約半分(残りは酒粕や泡)。

一般的な大量生産の日本酒だと9000リットル、約3倍のタンクでつくるそうです。

3000リットルでも9000リットルでも、かかる手間はほとんど変わらないそうで、一度にたくさん作った方が儲かりますが、繊細な味を実現するには、このサイズがいいそうです。話を聞けば聞くほど、一滴の日本酒のありがたみが増す。。。


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これは日本酒を最終的に絞る機械です。

この角度からはわかりにくいですが、カーテン状になっていて、酒粕といっしょに隙間に挟んでぎゅーーーと絞る仕組み。

よく「初しぼり」とか言うんで、牛の乳搾りてきなものをイメージしてましたが、思っていたのと違いました(笑)。

ただこの機械も高級品で、この機械だけで軽く一千万を超えるそうです。


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こちらは日本酒を「火入れ」する工程。

本当に火で炙っているのかと思っていたら、お湯で熱して(酵母は60度以上で死ぬ)火入れをするそうです。ただ、普通は、熱したパイプに直接日本酒を通して火入れしたりするらしいのですが、瀬戸酒造では1本1本瓶詰めしてから、温度を計りながら慎重に火入れしていました。


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さらにそのあと、1本ずつ取り出して冷やす!

恐ろしいほど手間暇がかかっていました。。。

乱暴にやると日本酒の風味も香りも飛んでしまうので、繊細さが必要とのことでしたが、まさかこんなに手間暇かかっているとは・・・。

 

お待ちかねの試飲タイム!笑

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酒蔵見学を終えた後は、お待ちかねの(笑)試飲タイム!!

瀬戸酒造は、小さな酒蔵なのにとてもラインナップが豊富です。

一口ずつでも、全種類試飲したら、とてもいいかんじになりました!笑

 

瀬戸酒造さんの日本酒をご紹介していきたいと思います。 

 

伝統の銘柄を復活!酒田錦

瀬戸酒造代表の森さんが、酒蔵のリニューアル工事が終わる前から「この酒は絶対につくる!」と決めていたのが、瀬戸酒造が古くから作り続けていた銘柄「酒田錦」の復活でした。

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伝統の銘柄を復活!酒田錦

ただ、名前だけを復活させても意味がないということで、蔵に残っていた古い酵母を復活させる。

さらに、地元で酒米づくりをする農家もゼロになっていたので、新たに地元の農家にお願いし、地元の酒米を復活。

過去に酒造りをしていたときの酵母、地元の水、地元の米、で伝統の銘柄を復活させました。

40年近く死んでいた酵母を復活させるなどというのは、前代未聞。

森さんも「捨てるつもりでいいから」という気持ちで、杜氏さんに頼み込んで作ったそうです。

出来上がった酒田錦を試飲してみたところ・・・

想像をはるかに超えた日本酒に仕上がっていて「感動して泣いた(森代表 談)」そうです!

 

伝統の銘柄を復活!酒田錦

https://setosyuzo.ashigarigo.com/brands/sakatanishiki/

 

開成町のシンボル・あじさいの酵母でつくった日本酒

次に、瀬戸酒造の代表・森さんが「これをつくる!」と決めていたのが、開成町のシンボル・あじさいの酵母でつくる日本酒。

ところが、当初「あじさいの酵母で日本酒は難しい」と専門家の皆さんに言われていたので「何年かけてでも完成させるぞ!」と思っていたらしいのですが、なんと1年目でいきなり成功してしまったとのこと(笑)。

常識にとらわれず、何事も挑戦することが大事なのですね、、、!!

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開成町の名物・あじさいの酵母でつくった日本酒

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あじさい酵母の日本酒「あしがり郷」

あじさい酵母でつくった日本酒「あしがり郷」はとってもフルーティ。白ワインのような味わいで、ほのかにブドウの香りが漂います。

これは控えめに言っても、美味しすぎます!

 

ちなみに、このあじさい酵母の「あしがり郷」は酒屋におろしてないので、瀬戸酒造さんに行かないと手に入りません。゚(゚´Д`゚)゚。

 

奇跡の酵母・あじさい酵母の日本酒「あしがり郷」

https://setosyuzo.ashigarigo.com/brands/ashigarigo/

 

神奈川の日本酒は特徴がない?水質を逆手にとった多彩なラインナップ「セトイチ」

最後に、多彩なラインナップを誇る「セトイチ」シリーズ。

神奈川って、実は日本酒の酒蔵がとっても少ない県(全国で44番目くらい)で「神奈川の酒は特徴がない」と揶揄されることも。。。

その理由は実は「水」にあって、神奈川の水は全般的に「中硬水」。硬くもなく、柔らかくもなく、つまり普通、、、。

瀬戸酒造さんでは、それを逆手にとって「だったら、いろんなシーンに合わせた多彩なラインナップを作ろう!」と、この「セトイチ」シリーズの展開を決めたそう。

例えば、新潟だと硬水なので、どんな酒米や酵母を使おうが淡麗辛口になってしまうらしいです。

また、瀬戸酒造の水(酒蔵にある井戸水)が、どんな酒米や酵母が合うのか、ベストな組み合わせを探るためにも、多彩なラインナップに挑戦したそうです。

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フルーティで薫りが華やかなタイプ、米の旨味が溢れ出るタイプ、辛口で食事に合うタイプ、濃厚で味わい深いタイプ、、、さまざまありますが、とにかく名前とラベルがオシャレ!

 

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セトイチ 純米吟醸「ぴいひゃら」

個人的に気にいっているのは「ぴいひゃら」です。

 

どれもこれも、日本酒にあるまじき(?)洗練されたデザイン、詩的なストーリーとネーミング、眺めているだけでも楽しい逸品揃いです。

 

セトイチ

https://setosyuzo.ashigarigo.com/brands/setoichi/

 

日本酒は起点にすぎない。地域と連携「はっこう大作戦!」

ここまでお酒の話ばかりになってしまいましたが、瀬戸酒造の森代表いわく「日本酒造りは、あくまで開成町の地域活性の起点に過ぎない」とのこと。

 

美味しい日本酒を作るには、発酵を操る高度な技術が欠かせませんが、それによって麹や酒粕といった副産物も生まれます。

杜氏(日本酒を作る職人さん)は、実は手がスベスベで綺麗な方が多いのですが、実はこれは酒粕や麹の効果だと言われていて、たとえば「美容酒粕パック」みたいな商品も開発して売り出しているそうです。


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さらに瀬戸酒造さんの母体の会社は、すぐ近くにある築300年(!)の江戸時代からの古民家「瀬戸屋敷」の運営もしていて、そこを開成町の地域創生の起点として、さまざまな活動を行っています。

 

あしがり郷 瀬戸屋敷・公式サイト

https://setoyashiki.ashigarigo.com

 

ちなみにこの瀬戸屋敷、なんと最低で1時間200円からレンタルできます!!

 

イベントで借りる人もいれば、屋敷に大量に漫画を持ち込んでごろごろして寝たりする人もいるそうです(笑)。釜もあるでの、飲食イベントも開催OK。

企業の1日合宿とかやったら、とってもよさそうな雰囲気でした。

 

ちなみに、ちょうど訪問した日に開催されていたのが「はっこう大作戦」という何とも楽しげなネーミングのイベントです。

 

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はっこう大作戦のポスター

「発酵のチカラを、開成町の魅力に!」

 

ということで、地域の大人や子どもも混じって、酒粕や麹といった日本酒から生まれる資源を活用して何かできないか、みんなで考えアクションを起こしていくワークショップ型のイベントです。地元の高校生や中学生も参加して、実際に売り出せる商品開発をしたりするそうです。

 

はっこう大作戦HP

https://setoyashiki.ashigarigo.com/event/374

 

単に、歴史ある酒蔵を復活させようというだけでなく、「日本酒造り」を起点に、開成町を「発酵の町」としてブランド化し、エリア価値を高めていこう、という壮大なビジョンのもとに酒造に取り組まれている、というお話は、美味しい日本酒にただただ目が眩んでいた横山の目から鱗を落としまくる刺激のあるお話でした。 

 

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瀬戸酒造の杉玉、地元の高校生の手作りプレゼントだそうです!

 

また、地元の高校(農業科のある県立吉田島高校)とも連携しているそうで、商品開発などの協力をしたり、酒蔵にバイトにきている高校生もいるそうです。

ちなみに、酒蔵の入り口にある「杉玉」(丸いやつ)も、吉田島高校の生徒さんが手作りしてプレゼントしてくれたものだそう(・∀・)

 

神奈川県立吉田島高校(都市農業科)

http://www.yoshidajima-h.pen-kanagawa.ed.jp

  

 

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最後の瀬戸酒造の森代表と記念写真。

まだまだスタートしたばかりの瀬戸酒造と開成町の取り組みですが、この先どんな成果が生まれてくるのか、とても楽しみです(・∀・)

 

3/31(日)に瀬戸酒造1周年イベントがあります!

最後に宣伝(笑)。

3/31(日)に瀬戸酒造、酒造り復活の1周年イベント「酒蔵ピクニック」が開催されるそうです!

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瀬戸酒造の日本酒に合う料理もたっぷり振舞われるそう。

ここでしか飲めない「あじさい酵母」の日本酒も味わえます。

日本酒好きの方、地方創生に興味のある方はぜひご参加ご検討ください(・∀・)

 

瀬戸酒造「酒蔵ピクニック」3/31

https://setosyuzo.ashigarigo.com/news/562/