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ネパールの教育制度と問題点をまとめてみた。教育制度の最大の問題とは?!

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ネパールの教育制度と問題をまとめてみた。最大の問題とは?!

こんにちは、横山です。

今回は、最近個人的に関わりが多い「ネパールの教育制度と問題」についてまとめてみたいと思います。

先日、実際にネパールとネパールの学校を訪問したこともあり、改めてデータを調べてみたもの、現地訪問したからこそ見えてきたこと、なども含めてお伝えしていきます。

 

ネパールって?どこにある国?どんな国?

ではさっそくいきましょう。

「そもそもネパールってどこにあるんだっけ?」

「アジアだと思うけど、どんな国だっけ?」

という方も多いかもしれません。

 

ネパール(正式名はネパール連邦民主共和国)はここにあります。

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出展:Googleマップ

南にインド、北に中国(チベット自治区)に挟まれた南アジアの小さな国です。

ヒマラヤ山脈の雄大な大自然に恵まれ、世界一を誇るエベレストがある国としても有名ですね。

仏教の開祖、仏陀(ブッタ)生誕の国としても知られています。

 

ネパールの人口は約3,000万人、北海道2つ分ほどの小さな国です。

現在、GDP(国民総生産)ではアジア最下位レベルで、経済発展の面だけみると、いわゆる「途上国」と呼ばれる国です。

ネパール国内には農業や観光以外にはめぼしい産業がなく、海外への出稼ぎが多い状況です。

 

政治的な面では、2008年に長く続いた王政が廃止され、連邦制に移行しました。

2015年には憲法が公布され、新しい国のかたちが出来つつありますが、数年間のあいだに首相が10人以上交代するなど、政治的には不安定な状況が続いています。

 

また、2015年に起きた大地震が甚大な被害をもたらし、各地に爪痕が残っています。

実際に自分が訪問したときも、崩れて修復中の遺跡がたくさんありました。

 

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▼ご興味ある方はこちらもどうぞ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ネパール

 

ネパールの教育制度とは?

次に、ネパールの教育制度(仕組み)やどんな学校があるかについてみてみましょう。

日本の外務省のサイトに、なぜかネパールの教育事情に関するページがありましたので、教育制度についていくつか引用してみたいと思います。

 

ネパールの教育は、教育省が中心となって実施されています。

現在の教育制度は、2009年から実施されている学校改革プログラム(School Sector Reform Program)によって、1~8年生が基礎教育、9~12年生が中等教育、及び、大学学士コース以上の高等教育となっています。 

 

ネパールの学年の数え方が、日本の教育制度と違うので分かりづらい気がしますが、日本でいう小学校と中学校が、基礎教育(Basic Education)にあたります。

日本の教育制度と同じように、いわゆる公立の学校(国立学校:Government school)と私立の学校があります。

首都のカトマンズを中心に、都市部には経済力のある家庭は通うことができる私立学校が数多くあります。

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実際に、カトマンズ市内には、こんなかんじで色々な学校(たぶん私立と思われる)がたくさんありました。

また、ネパールの私立学校では、英語教育がとても充実している(小1から算数や理科など、いわゆる国語以外は英語で行われる)ので、小学生でも英語ペラペラです。

カトマンズで出会った私立学校の生徒とおぼしき小学生たちも英語ペラペラでした。

ここらへんは、正直日本より断然レベルが高いように思いました。(※都市部の私立学校の話です。公立学校はまったく別)

 

国の政策で教育制度もいろいろ変わり、ネパールでの小学校入学段階での教育の普及レベルは高まってきています。

 

が、問題は途中退学率の高さです。

 

政府と援助国の支援によって、小学校1年生への入学率は90.7%(2012年ネパール教育省統計)と向上したものの、貧困などの理由で、義務教育終了まで継続して学校へ通う子どもの数は67.5%という現状です。 

 

日本でも昔々は(明治の初期、初めて学校制度が確立された頃)、子どもは家の貴重な働き手であり、学校にやって何の意味があるのか、というかんじだったそうですが、ネパールでも(特に山間部など地方)まだまだそういう面もあるようです。

 

ネパールの教育の問題とは?

それでは、ネパールの教育の問題点について挙げてみましょう。

ネパールの教育の最大の問題点は、

「私立学校と国立学校の格差」

だと思われます。

言い換えると、

「一部の都市部のお金持ちと、大多数の地方の貧しい層の格差」

の問題です。

 

こうした教育格差の問題は、どこの国でも似たような問題があるとは思います。

ただ、ネパールの場合は、私立学校(都市部)と国立学校(地方)の差が極端に激しく、「国立学校がほぼ機能していない」という点が大きな問題です。

 

富裕層の通う私立学校は卒業後、大多数が海外留学。トップ大学に進学する優秀層も多い

首都カトマンズを中心に、経済力のある層が通える私立学校の生徒たちは、卒業後はその多くが海外に留学します。

英国やアメリカ、オーストラリアが留学先としては人気だそうです。

オックスフォード大学やハーバード大学などトップ校に進学する生徒も多く、めちゃ優秀です。

そして、留学先の国を含め海外の企業にそのまま就職することが圧倒的に多いようです。

その方が稼げますし(ネパールに住む家族に仕送りしたり、貯金していずれ祖国に帰る)、何より大学や大学院で学んだ内容を活かせる企業がネパール国内にはありません。

 

またネパール国内でも、首都カトマンズにあるトリブバン大学などはとても優秀だそうです。

ネパールにも都市部かつ経済力のある一部の層しか受けられないですが、いい教育も存在はしています。

 

大多数(全体の8割)が通う国立学校(公立校)が深刻

問題は、大多数の子どもたちが通う国立学校(日本でいう公立校)です。

日本の感覚ではにわかに信じられないことも多いですが、問題な点をざーーっと挙げるとこんなかんじです。

 

<ネパールの国立学校(公立学校)の問題点>

  • そもそも教師が学校にちゃんとこない
  • 出席だけとって帰ってしまうことも多い
  • 教師の勤務状況などをモニタリングする仕組みがない
  • 仮にあっても機能する状況ではない
  • 学校ごとに所属政党があり、生徒が選挙活動に動員される
  • 教師は政治活動にいそしんでいることも多い
  • 教師の質自体も低い(教える力が弱い)
  • 生徒の4割前後が中学卒業までにドロップアウトしてしまう(働き手として家に戻される)
  • そもそも、まともに授業が行われていないので、中学卒業試験の合格率もとても低い(何年も連続で合格者がゼロという学校も実際にある)
  • 結局、卒業資格は得られないので、男性の大多数が出稼ぎ肉体労働者として海外へ行く

 

こんな惨状です・・・。

「先生が学校にちゃんと来ない」

「先生が授業より政治活動に熱心」

とか、日本ならあり得ない話ですが、ネパールでは現実に起こっている問題です。

 

さらに、こうした教育制度の問題が原因で公教育が機能していない結果、肉体労働で海外へ出稼ぎに行くケースが多いのですが(出稼ぎエージェントなるものが存在するらしい)、その実態は「過酷」という言葉では表せないほど悲惨です。

  • 毎日1,500人が出稼ぎに中東やマレーシアに流出している
  • 365日週7日1日12時間労働を強いられる過酷な労働現場
  • そのうち平均で毎日4人が危険な現場で命を落とし、空港へ遺体として帰国している

現代の奴隷制度、といっても差し支えないこの状況。

危険を知りながらも、他に稼ぐ手段がない現実。

まわりの身近な人も学校を卒業できず、海外に出稼ぎにいくのが当たり前。

だから、それ以外の将来を描けない。

根本にあるのは「教育」の問題です。

 

<ネパールの教育制度の問題まとめ> 

 

全体の2割 = 豊かな層が私立学校に通わせ、海外のトップ大学に留学(流出ともいえる)

 

大多数の8割 = 国立学校(公立)に進学するが機能不全。途中で多くがドロップアウト、残っても中学卒業試験を合格できず、結局は国外へ肉体労働者として出稼ぎへ行き、危険な現場で命を落とすことも多い

 

この私立学校と国立学校のあまりの格差が、ネパールの教育制度の大きな問題といえます。

また、ネパールという国の成長の根っこの部分での足かせとなっているのではと感じます。

 

ネパールの教育を変えるには?

カースト制度の影響が色濃く残る社会階層格差、王政から連邦制に移行(民主化)したことで逆に広まりつつある経済格差など、単なる教育制度だけの問題ではない、ネパールの教育の問題。

また、そもそも優秀な教師は、田舎(地方の山間部)に行きたがらない(実際にいくとわかりますが、物理的にも移動がとても大変。ちなみにネパールに鉄道はありません。)など、問題はいろいろとあります。

 

そんなネパールの教育制度や問題を解決していくためには、いったいどうすればよいのでしょうか?

 

ネパール人の友人のシャラド・ライさんが立ち上げたNPO法人YouMeNepalでは、教師の質の問題を解決するため、オンライン配信システムで都市部の優秀な教師の授業を配信する試みに挑戦しています。

これがうまくいけば「地方の教育の質の問題」を解決することができるからです。

ネパールのリムチュンブン市のいくつかの公立学校で実証実験を行い、成果が出れば導入を拡大する予定です。

インターネット環境などインフラの問題なども山積みですが、成功すればネパールの教育制度や仕組みを劇的に変える起爆剤になるかもしれません。

 

不正確な部分もあるかもしれませんが、ネパールの教育制度と問題点について、現地に訪問したときに見聞きした情報も含めてまとめてみました!

 

NPO法人YouMeNepal(ユメネパール )の活動はこちら

https://youmenepal.org/about/

youmenepal.org