先日の日曜日はアカデミック・コーチング学会の2019年第3回研究会でした。
「教師の役割が、ティーチング(一方的に教える、知識の教授)から、ファシリテーターやコーチングに変わっていく」
と、言われてはいるものの、学校の先生がそれを効果的に学ぶ場だったり、教育現場でのコーチングの学術的な研究(理論化や検証など)はほとんどないのが日本の現状。
アカデミック・コーチング学会は、
「コーチングに関する学術的研究を活性化」
「教育現場におけるコーチングの普及」
を目的とした新しい学会です。
研究会では、毎回とても面白い登壇者の方が発表されるので、とても勉強になります。
ちなみに研究会の発表内容は、アカデミックコーチング学会に入会すると、バックナンバーも含めて動画で視聴が可能です(^^)
ご興味ある方はぜひご入会を〜(^^)
アカデミック・コーチング学会 入会はこちらから(基本的には誰でも入会できます)
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http://academic-coaching.org/join.htm
研究会の会場は明治大学グローバルフロント。
何度来てもすごい建物で圧倒されます。
発表①関口祐太先生(株式会社 Edo代表取締役、岐阜県立吉城高校 教育コーディネーター)
発表テーマ「地域学校協働の 人づくり におけるコーチングの有効性について」
最初の発表は、岐阜県立吉城(よしき)高校で教育コーディネーターを務める関口さん。
「地域連携の課題解決型キャリア教育」にコーチング要素を盛り込み、「生徒の主体的な学び」の促進を実現している岐阜県飛騨市の公立高校・吉城高校の事例をご紹介いただきました。
参考:地域課題解決型キャリア教育(YCKプロジェクト)
https://school.gifu-net.ed.jp/wordpress/yosiki-hs/main/yckproject/
吉城高校は、YCKプロジェクトの活動が認められ「ユネスコスクール」に加盟登録されています。
また「地域学校協働活動」の取り組みが認められ文部科学大臣表彰も受賞、全国的にも注目度が上がっている高校です。
岐阜県飛騨市の山の上にある吉城高校。
豊かな自然に囲まれた高校です。
転機は数年前に、高校が統廃合の危機に立たされたこと。
地方の高校には多いですが、人口減少で生徒数が減り消滅の危機に晒されている学校は少なくありません。
吉城高校の卒業生でもあった関口さんは、母校と地元飛騨のためにと立ち上がり、教育コーディネーターという立場で、地域の人も巻き込みながら吉城高校の魅力化に取り組んできました。
吉城高校再生の第一歩として、地域住民の方も巻き込んだ対話ミーティングの様子です。
盛り上がりすぎて白熱しまくったそうなのですが、写真からその勢いが伝わってきますね(^^)
吉城高校のミッションは、
「飛騨から世界を望み、持続可能な社会の発展に貢献する人材の育成」
です。
ス、スケールが大きすぎるぜ・・・!∑(゚Д゚)
最近話題のSDGs(国連で採択された2030年までに目指す持続可能な開発目標)を取り入れた、 壮大な教育ビジョンを掲げています。
地域に開かれた学校を飛び越えて、小中高まで合わせた「街全体を大きな学びの場」と定義した、「飛騨学園都市構想」なるものまで動き出しているとのこと。
地域と学校が完全に融合したコミュニティが生まれつつある印象。
関口さんの話を聞いた感想。
控えめに言って、、、
この高校&飛騨市は凄すぎる!!!
具体的には、下記のような地域と連携した課題解決型のプロジェクト学習を行っています。
生徒たち自身で答えのない課題に取り組み、試行錯誤する中で、コーチング的なコミュニケーションアプローチをされている、とのことでした。
また、関口さんが務める「教育コーディネーター」というポジションは、学校と地域の人々をつなぐ「ハブ」のような存在です。
生徒たちだけでなく、ときには先生に対して、ときには地域の大人たちに対しても、コーチング型の対話を取り入れているとのこと。
また、生徒から進路相談などの際も、一方的にアドバイスを押し付けるのではなく、コーチング的なアプローチで、生徒のなかから答えを導き出すような関わりをされているとのこと。
実際の卒業のインタビュー動画なども見せてもらったのですが、生徒自身もコーチングをベースにしたコミュニケーションスタイルが身についたことで、大学進学後も役立ったと嬉しそうに話しているのが印象的でした。
発表②外山直行先生(茨城県立那珂湊高等学校 教諭)
発表テーマ「なぜか、いつもクラス運営が何となくうまくいっちゃう」
続いての発表は、茨城県立那珂湊高校の商業科で教える外山先生の発表。
テーマは「なぜか、いつも何となくクラス運営がうまくいっちゃう」です(笑)。
茨城県ひたちなか市那珂湊を盛り上げるため那珂湊高校生が考えたひたちなか市準公認のキャラクター「みなとちゃん」マークの入ったシャツをプライベートでも着用する外山先生。
教育NPOカタリバ の新年会で知り合ったときから、
「この先生はタダモノではない・・・!!」
と確信し、アカデミックコーチング学会の場に引きずりだして(?)参りましたが、案の定、会場参加者もその話術とキャラクターと取り組みの面白さに虜となっておりました(´∀`)
参考:茨城県ひたちなか市那珂湊を盛り上げるため那珂湊高校生が考えたひたちなか市準公認のキャラクター「みなとちゃん」
http://www.nakaminato-h.ibk.ed.jp/index.php?page_id=121
外山先生の授業スタイルの特徴は
「ワークショップまみれ」。
指導経験のなかから、知識を教えるだけで「経験」が伴わないと身につかないな、という実感があり、座学スタイルから実践を伴う現在のスタイルに転換していったそうです。
とにかく圧倒的に面白い外山先生。
生徒たちもこんな先生のもとだったら、勉強も楽しくて仕方ないと思います。
外山先生ご自身は、コーチングはまったく学んだことはなかったそうなのですが、自分が話を聞いた限り、コーチング的なコミュニケーションアプローチをふんだんに取り入れているな、と感じ、今回無理くり(?)発表してもらったのですが、まさにそういうかんじでした。
今回の発表にあたり、コーチングについても少し勉強されたそうで、自分がやってきたことが当てはまることも多々あって発見になったご様子でした。
外山先生の話で特に印象的だったのは、
- バカなファーストペンギンを演じる
- 良いとこメガネ発動
- 仏の指の話
この3つでしょうか。
(長くなるので、詳しくはまた別途記事にまとめます)
興味がある方は、録画も学会に入会するとご覧になれるのでそちらをぜひ(^ ^)
発表③西尾英樹先生(株式会社プレジャーデサイン)
発表テーマ「コーチング商品の価値の伝達法」
最後の発表は、ちょっと毛色が変わって、マーケティングの専門家である西尾さんのお話に。
「コーチング商品の価値の伝達法」というテーマだったのですが要は、
「うちの学校でコーチングがっつり取り入れたいけど、校長にどうやって提案したら通るか?!」
というお話。
特にコーチングという無形のものの価値や効果をどう伝えるのか、というのは結構難しい問題です。
というか「コーチングってそもそも何?」と聞かれると、一言で説明するのは結構(というかむちゃくちゃ)難しい。
「オンライン英会話を導入しましょう!生徒のスピーキング力(スコア)が上がります!」
とかは分かりやすいわけですが、コーチングとなると難問です。
特に、何かと保守的な学校という組織にコーチングを導入していくには、こうした「伝え方」も大きなポイントになることも間違いありません。
研究者と実務家のディスカッション!
発表のあとは、登壇者3名と会場の参加者を交えての白熱したディスカッションとなりました。
現場の実務家と研究者のまったく異なる視点が交錯しあい、互いに大きな気づきや示唆がありました。
写真は、常葉大学で教職を教える久米先生。
文部行政にも精通されていて、毎回お話とても勉強になります。
個人に対するコーチングではなく、「地域に開かれた学校」に必要な「コミュニティに対するコーチング」という概念はとても興味深かったです。
次回の研究会は9月22日!
また、年に一度の大会は11月3日を予定しています。
超スペシャルなゲストも登壇予定、とても楽しみです!
ご興味ある方はぜひご参加ください〜(^^)
今回含め過去の研究会の動画は会員申し込みすると視聴できます(о´∀`о)
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